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それからの時間は、びっくりするほどあっという間に過ぎた。

気が付けば新しい年がやって来ていて、そうかと思えば晶と日和さんの卒業式が終わって。日和さんは彼氏とよりを戻したらしい。詳しいことは知らない。べつに知りたくもない。


そして、年明けには決まっていた東京の学生マンションに、いよいよ晶たちが引っ越すことになった。


「おまえさー、どんだけ持ってくつもりだよ」


S大に合格してすぐに、少しずつ部屋の整理はし始めていたみたいだけれど。晶が本格的にその準備を始めたのは引っ越しの1週間前で、春休みに入っていた俺も手伝わされることになった。面倒くせえ。


「日和さんとふたり暮らしだろ? 小学校とか中学校とかの卒アルなんか持ってってどうすんの。邪魔じゃん」

「そうだけどさー」

「服もほんとに気に入ってるやつだけにしろよ。もう何年も着てねーやつもあるじゃん。また向こうで新しいの買えって」

「……あんたはお掃除おばさんか」


晶は収納上手だとは思うが、取捨選択はあまり上手ではないと思う。まさかこいつはこの大量のダンボールを全部持っていくつもりなのか。

いちおう、ひとつずつ開けて中身を確認してやった。晶はプライバシーがどうのこうのとぎゃあぎゃあ言っていたけれど、そんなもん知るか。来週には俺もこの荷物を運ぶことになるんだ。仕事はなるだけ減らしておきたい。