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「遠距離恋愛ってどうなんだろう……」


思わずぽろりと口からこぼれた。それを聞くなり、日和が箸の動きをぴたりと止める。

どんよりした空が広がる昼休み。きょうは午後から雪の予報がでていた。もし降ったら、今シーズンはじめての雪になる。さすがにきょうのランチは教室でとることにした。


「びっくりしたあ。まさか晶がそんなこと言い出すなんて思わなかったよー」

「んー」

「水谷先輩と話し合ってないの?」

「うん。ていうか、あたしのS大が決まってから付き合い始めたし……話し合うもなにもないのかな」

「なるほどねー、たしかにね。でも晶はS大行くつもりなんでしょ?」


それは、もちろんそうだけど。

少しずつだけど部屋の整理も始めているし、日和とも向こうでのルームシェアのことを話したりしている。彼女も専門学校に無事受かって、こないだふたりでお祝いをしたばかりだ。


「日和だったらどうする?」

「うーん、付き合ってる相手によるかなあ。そうくんとだったら絶対に無理だよ、あんなやつ」

「いや、あんたホント田代に厳しいな」

「そう? ……まー、引き止められないのも淋しいけど、実際に『行くな』って言われたらそれはそれで嫌かも。あーこのひとわたしのこと信じてくれてないんだなーって思っちゃう」


なるほど。さすが日和は言うことが違うなあと、素直に感心してしまった。

先輩はあたしを信じてくれているということなのかな。あたしは先輩を信じているのかな。分からないや。