相変わらず散らかっている部屋のいちばん向こう。紺色のシーツで覆われたベッドの上に弟は座っていて、その膝の上には、燿と向き合っている、シャツのはだけた親友の姿があった。

わけも分からないまま、とりあえず回し蹴りを2発入れてやった。燿は本気で痛がっていたけどそんなもん知るか。


「……あたしの心配返せ、馬鹿野郎」


全力疾走してきたのが馬鹿みたいだ。このサルめ。年中発情期かこの野郎。全然落ち込んでなんかないじゃんよ。


「晶、ごめんね。違うの。怒らないで。わたしが悪くて……」

「日和は黙ってて。おい燿、どういうことなのか、あたしが納得できるように説明しな!」

「違うんだってば!」

「えっ」


めずらしく日和が声を荒げたので、とりあえず彼女をカーペットの上に座らせ、あたしもそこに座って。ひとまず落ち着こうと、3人で話すことにした。

ただ、そこらじゅうに漫画やら洋服やらが散らかっているせいで、座り心地はとても悪かった。ちょっとは片付けろよ。


回し蹴りが効いたのか、燿は終始ふてくされて、一言も話さなかった。代わりにコトのすべてを話してくれたのは日和だ。

彼女があまりに燿を庇うように弁解するので、まさか本当にこいつらは付き合い始めたのかと思ったけれど。どうやらそういうわけでもないらしい。


「……と、いうわけなのです。ごめんなさい!」


一気に話し終えるなり、日和ががばっと頭を下げた。そしたら燿がベッドの上から「日和さんが謝ることなんかねーよ」と低い声で言うので、「黙ってな」と言ってやる。

すると、無遠慮な舌打ちが降ってきやがった。喧嘩売ってんのか。