「日和さん……嫌じゃねーの?」
「ん、やじゃないよ……」
「……分かった」
……もういいや。抵抗しねえなら、もういい。やけくそだ。
ついに下着のホックに指を掛ける。ぱちんという音がしたと同時に、彼女の両手がそれをぎゅっと押さえつけた。
彼女の顔を見ると、その瞳はぎゅっと閉じられていて。ぶっちゃけ一気に冷めた。
「……やっぱり、無理だろ?」
「む、無理じゃなくて……これは……っ」
「日和さんが好きでもない男に身体を許せるわけねーじゃん。知ってるよ、俺。5年も好きだったんだから」
だからもう俺は、潔く振られるからさ。
日和さんは泣いていた。ぼろぼろこぼれる涙を人差し指で拭ってやると、彼女はそのまま、俺の首に抱きついてきた。
いやいや。自分がいますげーぎりぎりの格好だってこと、ちゃんと分かってるんすか。いやまあそうしたのは俺ですけども。
「……燿くん、ごめんね……っ」
「いいよ、もう。俺も悪かったし。怖い思いさせてごめん」
「ごめんなさいっ……」
俺の腕のなかで泣きやまない彼女の髪をそっと撫でてやる。なんだよ、全然泣きやまねえじゃん。
「……頼むから泣かないでよ、日和さん」
もしかして、この涙は俺のために流してくれてんのかな。
もしそうなら、それだけでもう、充分だ。