僕ときみを乗せた電車は、ふたりが再会した海辺の最寄り駅へと戻ってきた。


駅から少し歩いたところに建っているとても大きなデパート。


6階までフロアがあり、最上階には観覧車もある。


遊園地にあるようなとてつもなく大きなものではなく、10分で回りきれる程度のものだけれど、それでも十分大きいと思う。


僕たちはデパートの4階にあった《花火の大和屋》で手持ち花火を2セットと吹き出し花火をひとつ、そして火をつけるためのチャッカマンを買った。


そして僕たちは今どこにいるのか。


少し首を反らして顔を上げると、目の前には大きな観覧車。


隣には、僕と同じように観覧車を見上げながら嬉しそうにはしゃぐきみ。


「優太、観覧車だよ!もうすぐ私たちの順番だね」


子どものようににいっと口角を上げたゆりあは、僕のシャツをクイッとつかみ本当に嬉しそうに笑う。


そう、僕たちは、デパートの最上階にある観覧車の前にいるのだ。


どうしてこんなことになっているのか。


僕に聞かないでほしい。


……けれど、事の発端は僕の隣にいる恋人、ゆりあだ。


──花火を買ったあと、僕はゆりあとご飯を済ませて海辺へ向かい花火をするつもりだった。


つもりだった、のだけれど。


ゆりあが急に、本当に急に、僕の腕を引いて行き先も告げぬままスタスタと歩き出すから黙ってついていくと、たどり着いたのはここだった。