──ガタン、ゴトン。


あれから僕たちは電車に揺られて、再び海辺の最寄り駅へと引き返している。


夏の午後6時は、まだ明るい。


流れるように動く外の景色は、僕の瞳を錯乱させる。


しばらく青々とした緑の色合いが続いたあとに見え始めた海辺。


遠くからでも分かる。


潮の匂いも、海を渡る風の色も。


──きみと再会した18時間前の光景が、色鮮やかに鮮明に、僕の脳裏を駆け巡る。


きみと肩を並べ夜を明かしたあの温もりが、僕の手の中に今も残っている。


外の景色を眺めながら頬を緩めているゆりあを見ていると、胸がどうしようもなく痛むんだ。


なぜだろう、僕にもわからない。


けれどひとつだけ言えるのは、ゆりあが僕の前から消えてしまうまで、残りあと6時間となったということ。


切ないのか、悲しいのか、僕自身もよく分からない。


僕の隣にゆりあがいる。


その事実があるだけで、僕はこんなにも泣きそうなんだよ。


ねぇ、ゆりあ。


きみはこんな僕を、弱い男だねと笑い飛ばしてくれる?


「……優太」


思わず肩が不自然に跳ねた。


その理由は、ゆりあの横顔に問いかけたときとほぼ同時にゆりあがこちらを向いたから。