きっと僕の頬は赤く染まっていることだろうと振り返ってゆりあに目を向けると、ゆりあは面白おかしそうに僕の顔を指差して笑っている。
……ああ、ものすごく恥ずかしいじゃないか。
「……楽しかったです。とても」
僕は頬を緩めて微笑んだ。
おじさんは嬉しそうに、そうか、と真っ白な歯を見せた。
「お兄ちゃん、とても優しい顔してるね。彼女はきっとお兄ちゃんの優しい笑顔とか、彼女思いなところに惚れたんだろうねえ」
自転車を片手で支えながらひやかすようにおじさんは僕の肩を小突く。
僕は笑いながら答えた。
「そうだと、いいです。僕は彼女が本当に好きで大切なので。ベタぼれっていうやつですかね。彼女に全てを捧げてもいいくらい、僕は彼女が好きですから」
ゆりあのほうはあえて見なかった。
見てしまったらきっと、もっと恥ずかしくてどうしようもないほどドキドキしてしまいそうだったから。
きみはどんな顔をしているのか。
知りたいけれど、やっぱり知りたくないような、自分でもよく分からない不思議な気持ち。
考え出したらきりがないから、僕はおじさんに軽く会釈をして。
「またきます」
そう言い微笑むと、おじさんもにこりと笑い返してくれた。