どんな家族にも、それぞれの絆があって。


それはどんな荒波にも災難にも決して断ち切ることはできないもの。


家族はいつの日も、切っても切りきれない絆という特別なものでつながれているのだと、僕は初めて知った。


なんて素敵なのだろう。


三人が笑いあう光景を見て、ぼんやりとそう思った。


──午後5時。


「今日はありがとうございました」


あれからお菓子とお茶をごちそうになった僕は、玄関までお見送りにきてくれたゆりあのご両親に頭を下げる。


「……それから、偉そうなことをたくさん述べてしまい申し訳ありませんでした」


続けて頭を下げた僕に、おじさんとおばさんはとんでもないよと首を横に振ってくれた。


「優太くんが言ってくれなければ、僕たちはずっとあのままだったよ。だから謝らないでくれ。ありがとうは、こちらのせりふだよ」

「ありがとうね、優太くん。優太くんのおかげで目が覚めたわ。あの子がいない現実を受け止めることはまだ難しいけれど、私たちは私たちなりに進んでいくと決めたから。優太くん、本当にありがとう」


そう笑うふたりに僕も笑顔を浮かべると、僕の隣に立つゆりあも嬉しそうに笑っていた。


ここへくるまでは、いくらゆりあのお願いだからといって行かないほうがいいのではないのかと不安に思っていたんだけど、三人の晴れ晴れとした笑顔を見ると、僕の選択は間違っていなかったんだと思いほっとする。