その体は、あのゆりあが亡くなった日に震える手で恐る恐る触れた体みたいにひんやりと冷たくなく、僕の好きだった温もりを宿していた。
なんでゆりあがここにいるのかなんて、どうでもいい。
とにかくずっと会いたかったきみに会えただけで、ほら、僕の世界はこんなにも色鮮やかに輝いて見える。
少し前の黒ずんだモノクロの世界とは大違いだ。
「……優太、びっくりした?」
きみをただひたすらに抱きしめていた僕の背中を諭すようにポンと叩き、ゆりあは僕から身を離す。
それだけでとても寂しくなった。
「びっくり、したよ。もう二度と、ゆりあには会えないと思っていたから」
僕が言うと、ゆりあは僕を見上げながらふふっと口元を緩やかに緩めた。
「優太が会いたがってたから、きちゃった」
ゆりあはそう言って、にこっと笑う。
“私がいなくて寂しかったんでしょ?”とでも言いたげな表情に、胸の奥がきゅっと掴まれたような感覚に陥った。
強気な言葉に、この自慢げな笑顔。
ゆりあが口を開く。
「私ね、今からあと一日。つまり24時間、この世界に人間としていられるみたいなんだよね」
ゆりあは笑ったまま僕に話してくれるけど、僕自身が動揺しているのか、あまり内容が理解できそうもない。