急に不機嫌になったり、こうして好きと伝えて照れてみたり。
きみは本当に忙しい。
けれどね、そんなきみのことが好きなのは誰だと聞かれれば、僕は迷うことなく手をあげるだろう。
きみのことを好きなのは僕だけでいい、そんな小さいようでとても大きな独占欲。
「僕も、きみが好きだよ」
───その言葉に、ゆりあが嬉しそうに微笑んだ。
それからしばらく僕たちは壮大な緑の絨毯の上で寝転びながら寄り添って、他愛ない話をした。
あのドラマはこんな展開になったとか、クラスのあの女の子はやっと告白をして付き合うことになっただとか。
ゆりあの知りたいことを聞いては僕がその質問に答えて、何度もそうしているうちに、時刻は午後2時を刻む。
もうお昼も終盤だというのに太陽はじりじりと地面を照りつけ、そこらにある草を焼ききってしまいそうなほど強さを増している。
「2時だね」
ふと、ゆりあが自分の腕時計に目をやりつぶやいた。
もう2時だということを知っていた僕はあまり驚く素振りを見せず、無言で頷く。
「まだまだ優太と一緒にいられるね」
「そうだね」
「これから10時間も優太とふたりでいられる。こうして手を伸ばせば優太に触れられる」
そうして僕の腕に触れたのはゆりあの細い腕で、きみは僕の手を包みこむように優しく腕を掴んだ。