隣を見れば、きみが楽しそうにシャボン玉を飛ばしている。
その横顔を見ているだけで、ほら、僕の世界はとてもきれいなんだ。
そのあと、僕たちはしばらくふたりでシャボン玉をとばして遊んだ。
僕とゆりあ、どちらのシャボン玉のほうがより大きく作れるか、どちらのほうが長いことシャボン玉を吹いていられるか。
ささやかな本当にこどものようなそんな張り合いをして、僕たちはシャボン玉の液すべてを使い果たした。
そして午後1時。
「ああ、楽しかったね。あんなにはしゃいだの、久しぶりかもしれない」
辺り一面に広がる草の上に大の字に寝転がりながら、ゆりあはそっと開けていた目を閉じる。
同じようにゆりあの横へ大の字に寝ていた僕は、顔だけをゆりあのいる左側へ向けた。
「本当に楽しかった」
すうっと息を吸い込み、自然を体いっぱいに感じているように見えるゆりあ。
きみは今、自らの心でどんなことを感じてどんなことを思っているのだろうか。
考えれば考えるほどに分からなくなってしまうから、僕はなにも考えなくてもいいように思考を遮った。
「……僕も楽しかったよ、すごくね」
そしてゆりあに思いを馳せる。
今の僕たちには、きっと言葉はいらない。