ゆりあと目をあわせて微笑むと、ゆりあは恥ずかしそうに目をそらした。


「はい、これ。ゆりあの分」


そんなゆりあにシャボン玉セットをひとつ渡す。


ゆりあはありがとうと言ってそれを受けとると、早速地面に座ってシャボン玉の袋を開け始めた。


「大丈夫?開けられる?」


僕もゆりあの隣に腰を降ろす。


ズボン越しにお尻に触れた草がひんやりと冷たくて、体中にこもっていた熱が少しだけ放散されたような気がして、気持ちがいい。


「ねぇ、優太?シャボン玉ってね、この液につけてふうって吹くだけでよかったかなあ?」


液体の入ったミニボトルを左手に、吹くときに使う薄い緑の棒状のものを右手にわくわくとした目で僕を見るゆりあに、こくんと頷く。


「そうだよ。その棒を液につけてね、ふうって吹くの。そしたら、シャボン玉ができるよ」

「わあ、すごい楽しみ。早く吹いてみよう。久し振りだから、うきうきする」

「うん。ゆりあがすごく楽しそうだから、僕も嬉しい。僕も吹いてみようかな」


かさかさと手を器用に動かして袋を破り、シャボン玉の用具をひとつずつ手に持つ。


ゆりあと同じように左手に液体の入ったボトル、右手に緑の吹くものを持った僕を見て、ゆりあが“優太”と僕の名前を呼んだ。


僕がゆりあに目をやるのと同時に、さらさらとやわらかな風が吹いた。