例えば、かわいい洋服や雑貨をたくさん見に行きたいとか、遊園地に行きたいとか、この前公開されたばかりの恋愛映画を見に行きたいとか。


もっとスケールの大きなものを言ったっていいのに、どうしてそんなに小さなことを望むのか。


僕はどんなに無茶なことを言われても、決して怒ることなんてしないのに。


そうしてひとりで悶々とする気持ちを押さえていると、楽しそうな顔をしたゆりあがグーっと背伸びをしながら僕を見る。


「シャボン玉、私小さい頃にしてから今までやったことないんだよね。優太はある?」

「いや、小さい頃以来はないかな」

「じゃあ決まりだね。一緒にしよう」


にこにこと笑うゆりあは、悶々とした僕の気持ちをあっという間に晴らしてしまうほどにきれいだ。


それはまるで、僕らの肌を焦がす太陽のように眩しかった。


「シャボン玉、どこでするの?」


そう言うと、しかめっ面になってゆりあは悩み出す。


本当に表情が多才でゆりあと一緒にいると飽きることがないよと心のなかで思ったけれど、僕はそれを口には出さずにゆりあと一緒に頭に考えを巡らせ始めた。


……この辺だと、どこがあるのだろうか。


シャボン玉と言えば、自宅の庭や公園が思い浮かぶけれど。


このあたりにそんな場所はあっただろうか。