パンケーキ屋さんを出てから僕たちは商店街を行くあてもなくぶらぶらと歩いていた。
「暑いよ……」
じりじりと肌を焼く太陽の強さにゆりあはもう限界を迎えているみたいで、今にものぼせてしまいそうなほど真っ赤な顔を手で仰いでいる。
とにかく次の行き先を決めなければいけない。
たくさんの人がいる中をすり抜けながらゆりあに目を配るとゆりあも一生懸命人を避けているみたいだ。
……でも、ゆりあはもう幽霊ならば、他の人をすり抜けることなんて簡単にできるんじゃないか。
「ゆりあ」
「ゆ、優太。なに?」
「ゆりあって、人をすり抜けられるんじゃないの?」
大勢の人が振り返って、僕を不思議そうな目でみる。
それもそうか、周りからは僕がひとりで会話をしているように見えているのだから。
ゆりあは人を必死に避けながら、僕の方を見上げる。
「分からないけど……。なんかもう人がいたら避けるっていう習慣ついてるから自然となっちゃうの。一ヶ月前までは普通の人間だったんだからね」
そうか、とひとりで勝手に納得しながらも、これからどこへ行こうかと僕は考えを巡らせていた。
ゆりあが行きたいと言っていたこと、したいと言っていたことを思い出しながら、どこへ行くのがいいのだろうかと考えていると、ゆりあの手が僕の手を掴んできて、急な出来事に驚く。