──午前11時過ぎ。


パンケーキを食べてから会話を楽しんだ僕たちは、そろそろ帰ろうかという話になり荷物をまとめていた。


ゆりあとふたりで個室を出ると、あの店員さんとオーナーが僕を見てにこりと微笑む。


薄い茶を主としたタイルの床を踏みしめながら会計場所まで行くと、ふたりも僕を追いかけるように会計場所へとやったきた。


当然、僕の隣に立つゆりあに気付くこともないまま支払いを済ませ、ふたりは僕に頭を下げる。


「また、お越しくださいませ」


ふたりが同時に顔をあげたとき、僕も笑って同じように頭を下げた。


「パンケーキ、とても美味しかったです。甘いのが苦手だったんですけど、ここのパンケーキはたくさん食べられました」

「そう言っていただけて嬉しいです」

「個室も……わがまま言って申し訳ありませんでした。本当にありがとうございます」


僕の言葉に店員さんとオーナーがとても嬉しそうに目尻を下げたから、なんだかとても晴れ晴れとした気持ちになる。


隣にいたゆりあも、店員さんやオーナーからは見えないけれど、


「ごちそうさまでした」


と律儀に頭を下げて、僕を見て美味しかったねと笑った。