ゆりあは僕を見てお腹を抱えながら、口を開いた。
「優太ね、私と付き合う前言ってたんだよ?甘いもの好きじゃないって。覚えてなかった?」
「……ごめん」
「一年前にひまわり畑に行ったときも、ソフトクリームあるの知ってたけど優太が甘いの苦手って知ってたから食べたいって言わなかったの。でも今日ソフトクリーム持ってきてくれたから食べられるようになったのかなって思ったけどね、ソフトクリーム交換したときにやっぱり苦手なんだなって」
「……僕のソフトクリーム、甘くなかったでしょ?」
「甘さ控えめだったね」
きみは僕をからかうようにクスクスと笑うから、全部見透かされていたのかとなんだか恥ずかしくなる。
気付いていたのなら、言ってくれたらいいじゃないか。
僕が少しムスッとしていると、ゆりあは僕の顔をとても優しい顔で見つめていた。
「……このパンケーキもね、優太のために見つけたんだよ?」
きみは優しい表情を崩さない。
僕は瞬きすらもできなかった。
「僕の、ため……?」
「そう。優太とずっとパンケーキ食べたかったのに、パンケーキって甘いでしょ?でも優太とパンケーキ食べたくて。だから甘さ控えめのパンケーキ屋さん探したんだよ。そしたら、ここのお店見つけてね。まあオープンの5日前に私が死んじゃったけど」
目の前で笑いながら話すゆりあだけど、僕はまったく笑えないよ。
笑うよりも、涙が出てきそうだ。
だってきみの思いがとても嬉しかったから。