きょとんとした顔で立ち止まり僕を見るこの店員さんの中で僕はきっと、もう完全に変な人だ。


ゆりあと話せることが嬉しいから変な人だと周りに思われてもいいのだとゆりあと出会った数十時間前に言ったのに、いざとなってみればこんなにも恥ずかしいものなのか。


「えっと、すみません。お席にご案内しますね」


再び笑顔を作った店員さんに僕はぺこりとお辞儀をすると、もうどうにでもなれとやけくそになってゆりあの手を握った。


「ゆりあ、行くよ」


店員さんや周りにいるお客さんの目なんてもう気にするものか。


僕は自分の立場よりも、今ゆりあといるこの時間をなによりも大切にしたいんだから。


「ちょ、優太?」


ゆりあは突然の僕の行動に慌てていたけれど、僕が手を離さなかったらあきらめたのか大人しく着いてきてくれた。


「ではこちらへどうぞ。ご注文がお決まりになりましたら、お手元にあるボタンをお押しくださいね」

「ありがとうございます」


にこりと笑った店員さんが戻っていくのを見届けると、僕は注文表を手に取りゆりあに手渡した。


だけどゆりあは一向に注文表を手に取ろうとしない。


どうしたのかと尋ねてみれば、パンケーキを食べているところを周りの人から見ると、フォークやナイフが浮かんでいて怖がられないかということらしい。