ゆりあの体が一瞬ビクリと揺れて、触れたところからゆりあの熱が僕の体にも移る。


「……優太のばか」


照れたときに出るお決まりのせりふに、ぷはっと笑った僕を、ゆりあはキッと睨み付けてくる。


「なんで?だめだったかな?」


しらけるように言うと、ゆりあは僕から目をそらしながらつないだ手をブラブラとさせた。


「だって、急になんて。恥ずかしいじゃん」

「でも、僕とつなぎたかったでしょ?」

「……うるさい、優太」

「素直じゃないなあ、ゆりあは」


つないでないほうの手でゆりあの頬を少し摘まむと、ゆりあはブスッとした顔で僕を見上げた。


けれどもその顔までが愛しくて、可愛くて、たまらなくなった僕はきみを勢いのまま抱きしめる。


壊れないように優しく、きみに僕の愛情があまることなく伝わるように。


「ゆりあ……」

「……うん?」

「……ゆりあと、ゆりあと。ここにこられてよかったよ」


ためてためて、喉に引っ掛かった言葉をなんとか押し出す。


本当は、ゆりあにここで好きと伝えようとしていた。


けれど好きと伝えるには言葉が軽すぎる気がして、とっさにでたのはこの言葉だった。


なにが軽いのか。


そう聞かれれば僕は答えることができないけれど。


恐らく僕が好きと言えば、ゆりあが悲しい思いをしてしまうんではないかって、深読みしすぎだろうか。


自分でもなにが言いたいのかよく分からなくなってしまった僕は、穏やかでない心を落ち着けるようにゆりあを抱きしめ温もりを感じる。