ふにゃりとした声に、可愛いなあと思いながら僕は口元を緩める。


ゆりあとつないでない方の左手で携帯電話の明かりをつけてチラッとそれを見ると、時刻は夜中の3時30分過ぎ。


こんな時間なのだから、眠たくなるのも当たり前だ。


だって普通ならもうぐっすり眠れていて、あわよくば夢までも見えている時間なのだから。


「僕は大丈夫だから、ゆりあ。そのままでもいいから寝なよ」


ゆりあとつないでいる右手に僅かに力を込めて優しく握るけど、ゆりあはただ首を横にふるだけで、僕の言葉に頷こうとしない。


そこまで寝たくない理由でもあるのだろうか。


それともここで寝てしまうのは、やっぱり抵抗があるのか。


どちらが正解なのか、またはどちらとも違うのか、僕はゆりあではないから分からないけれど、ゆりあがこのままがいいと言うのであればこのままでいよう。


そう決めて、僕は優しい音を奏でる波の音に耳を傾けることにした。