さらさらと流れる風がきみの髪をなびかせて、僕の頬をくすぐる。


潮風の匂いも波の音も、きみの小さな息づかいでさえも、僕にとってはとても心地よい。


「ゆりあは、なにがしたい?」


僕の唐突な問いかけに、ゆりあはふふっと笑って再び僕の肩に頭をちょこんとのせた。


「私はね、そうだなあ」

「なんでもいいよ」

「本当になんでもいいの?私わがままだから、無理なお願いしちゃうかもしれないよ?」


ゆりあはそう言ったけど、僕にだってそのくらいの覚悟はできてるつもりだよ。


どれだけきみのことが好きだと思っているんだ。


きみがとてもわがままな人だということも、そんなこともうとっくに知っている。


「僕はゆりあの恋人だから。ゆりあの願いは、僕が叶えてあげたいんだ」


やわらかく笑った僕の右手に、きみの左手がそっと重なる。


「優太が手、つなぎたそうにしてたから、私がつないであげる……」

「……そうだね、僕がゆりあとつなぎたいなって思っていたの、分かったんだね」


素直になれないきみに突っ込むことをせず微笑んであげると、きみは落ち着いたように僕の肩にかかる重みを増やした。