ゆりあが僕の前に現れてから、およそ2時間。


時刻は真夜中の2時をまわろうとしていた。


「ね、優太。私、優太としたいことたくさんあるんだあ」


他愛ない話を海辺で寄り添いながら行っていると、ゆりあが眠そうに目をこすりながら僕のいる左側を向いた。


……可愛い。


そのふにゃりとした笑顔を直視することができなくて、僕はまっすぐ前を向く。


まだ暗がりの景色の遥か彼方に、ぼんやりと星が広がっているのがよく見えてとてもきれいだ。


「……優太?私の話聞いてる?」

「え、ああ。ごめん」

「もう、ちゃんと聞いててよね。私たちが一緒にいられるのはあと22時間しかないんだから」


チラッと横目でゆりあを見ると、頬をぷくっと膨らませていてどうやら怒っているみたいだったから、僕はゆりあの頭にそっと触れた。


……こうしてゆりあに触れられるのも、あと一日もない。


「ごめん、ゆりあ」


僕が頭をなでると、ゆりあはそのまま目だけを動かして僕を睨み付けた。