星の明かりに反射したその粒は、悲しいほど透明な輝きを放ってほろりと砂浜にこぼれた。


「それから無事ひいおばあちゃんはおばあちゃんを生んだ。爆弾が飛び交う空の下で、いつ死ぬかも分からない場所で、命懸けで。そしてひいおじいちゃんは、それを見届けたすぐあと、御国のために散っていった」

「ゆりあのひいおじいさんは、我が子の顔……」

「見てたよ、ほんの一瞬だけ。涙を流しながら、ありがとう、ありがとう、そう何度も繰り返しながら小さなその手を握ってた。何に対してのありがとうなのかなあってそのときの私は思ってたけど、今は分かるんだ。きっとひいおじいちゃんは、命が生まれてきたことへの奇跡にありがとうって言ってたんじゃないのかなって」


ゆりあはそう言って、震えていた口元を緩めて口角を上げた。


僕の胸は痛んで、息が詰まりそうになって呼吸もままならないほど苦しくて。


そのときの様子を想像するだけで、ひいおじいさんの思いを考えるだけで、どうにもならないほどつらくなる。


今と正反対の世界。どうしたって重なり合わない世界。


けれど僕たちは時代は違えど、同じ世界を生きている。


同じ地を踏みしめて、同じ空気を吸って、同じ空の下で、毎日を懸命に生きている。


命が、生きている。


「……ね、優太。私たちの命は、私たちだけのものではないでしょう?」


そう、きみが笑った。


そこで初めて、僕はきみが少し前に問ってきた質問の答えの意味を知る。


命は、僕だけのものじゃない。


僕のこの命は、きっと、きっと。


「私たちの命はね、昔の人たちがずっとずっと、命懸けで守ってきてくれたものなんだよ。たくさんの人の命が、優太のなかで生きている」


ゆりあの言葉が、胸にしみる。