宿ったそれは、ゆりあの瞳をきらりと輝かせた。
……きれいだ、本当に、きれいだ。
「ゆりあは、僕になにかお願い事があるの?」
言ってくれたなら、僕はそれを全て叶えてあげるのに。
吸い込まれてしまいそうなほどきれいな瞳で僕を見つめたきみは、口角をくいとあげた。
「……あるよ。優太に叶えてほしいお願い事」
夜風に吹かれて、ゆりあの髪の毛がさらりとなびく。
額に張りついていた前髪も吹いた風にのせられて、ふわりと浮かんだ。
僕は言う。
「そのお願い事、言いなよ。叶えられるかは分からないけれど、まだ時間はある。きみの願い事、僕は全部叶えてあげたい」
本心だ。これは、この言葉は、この思いは。
願いを全部叶えるなんて無理なのかもしれないけれど、無謀なことなのかもしれないけれど、それでも僕は本気でそう思っている。
笑われたってかまわない。ばかにされたってかまわない。
きみのヒーローになりたいだなんてそんなくさいことは思ってないけれど、僕はきみに後悔はしてほしくない。
僕と恋人同士になったことを、僕を好きになったことを、──僕に会いに再びこの世界にきたことを。
決して、ゆりあには後悔してほしくないから。
「……優太の気持ちは嬉しいよ。すごくね」
それでも、きみは僕の言葉にふわりと微笑むだけだった。
「でも、これは、このお願い事は。どこかへ行きたいとか何かが食べたいとか、そんな簡単なお願い事じゃないの。……だから、私と勝負してほしい。真剣に向き合ってほしい」
「……ゆりあ」
「もし私が負けてしまったら、優太のお願い事をきいてあげる。……だけど、もし私が勝ったなら。私のお願い事を、ちゃんときいてほしい」
ゆりあは今にでも泣いてしまいそうに目を細める。
けれど涙は流さず、笑っていた。
大好きなきみに、こんなに真剣なお願いをされたら、僕は頷くことしかできないじゃないか。