それはまるで、星が手の届く場所まで降りてきて降っているみたい。


煌めく火の粉は落ちては消え、また新たな火の粉が灯り。


繰り返されるその光景を見ていると目頭が熱くなってくるけれど、とてもきれいなこの光景を忘れたくなくて、瞬きもしたくなくて。


僕はただそれを眺めていた。


そうしていると、ふいに握られた僕の左手。


視線を左下に移せば、きみの右手が僕の左手を強く握っている。


すう、ときみが横で小さく息を吸う。


「優太ーーー」


花火の音をかき消してしまうほどの声で、きみが叫んだ。


「大好きだよーーー」


深く深く、どこまでも届くように。


繊細で優しいきみの声が、海の向こう側へと吸い込まれてゆく。


突然のことで驚いている僕の手を優しく握り、笑う。


大好きなきみが、笑う。


「ほら、優太も。花火が消える前に叫ぶの。青春みたいでしょ?花火の音に負けないように、優太への愛を叫ぶの」


どんな理由なんだよ。


全く、ゆりあはいつだって本当に突然だ。


ゆりあがやること言うこと全てに僕はいつも振り回されてばかり。


けれど、それも悪くないのかもしれない。


「優太ーーー」


またきみが叫ぶ。僕の名前を、限りなく大きな声で。


「世界で一番大好きだよーーー」


花火の音なんて聞こえない、僕の耳に入るのはきみの優しい声だけ。