チャッカマンの火をつける。


それにゆりあが再び花火の先を持っていく。


僕も、ゆりあに続くように火をつける。


そしてふたりで花火から吹き出す光を眺める。


笑いながら、時に子どものようにはしゃぎながら、砂浜を花火を持って走り回ったり、花火でハートを描いてみたり。


そんななんでもない時間を幾度となく繰り返し、手持ち花火は残りひとつ。


「この花火は、最後にしよう?……線香花火だし、ふたりでゆっくりやりたい」


残ったふたつの線香花火を見つめながら、ゆりあが僕の顔を見つめる。


そうだねと同意の言葉を重ねると、微笑んで頷いたきみ。


僕たちは最後の手持ち花火をする前に、ひとつだけ買っておいた大きな吹き出し花火をすることに決めた。


袋から取り出したそれは、僕が片手ぎりぎりで持てるような大きさのもの。


持続時間は、およそ3分ほど。


「ゆりあは危ないから少し離れたとこにいてよ。絶対僕の方にきちゃだめだからね」


砂浜の上に置いたそれの先に火をつけると、勢いよく吹き出す花火。


急いでゆりあのもとへ戻った僕は、ゆりあの隣へ並ぶように立った。


肩を並べる僕たちの目の前を、吹き出し花火が弾け飛ぶ。


バチバチと地鳴りのように響く音。


火の粉が降る夏の砂浜。