そんな僕をさらりとしゃがんで交わしたゆりあ。
にいっと笑って、いたずらに舌を出す。
「悪い子の優太くーん」
再び繰り返された言葉に、ムッとした僕はゆりあをじっと睨んだ。
「僕のことを悪い子だと言うなら、ゆりあも一緒だよ。ゆりあも僕と一緒の時間まで起きてるんだから」
「私も悪い子?」
「そう。ゆりあも悪い子」
「私は悪い子じゃないよ。だってもう、死んでるのに。幽霊にはいい子も悪い子もないんだよ」
おどけながら微笑んだゆりあ。
──だってもう、死んでるのに。
ここまできて、こんなことを言わないでよ。
意識しているつもりではなかったけれど、そう言われると意識してしまう。
きみがもうすぐ僕の前からもこの世界からも消えてしまうって。
──3時間。
きみと出会った頃は24時間あったこの時間も、残り3時間となってしまった。
時の流れは不思議だ。
なんで、世界の針は止まることなく動き続けるのだろう。
時間を止める方法をどこかの研究者が見つけてくれないだろうかと考えたけれど、時間は進むからこそ僕たちはこんなにも懸命に生きているのかもしれない。