「きみちゃんって、誤解されやすい子なんだ。ほら、彼氏の俺が言うのもアレだけど……かわいいし。でも、だからかな、人の気持に敏感で、すげえ俺のこと気を使ってくるんだ。俺が悪く言われないように、いつも気にしてる」
「……でも……」
「付き合う前はただ、かわいいなあってだけだったんだけどさ。今は、付き合ってきみちゃんを知って、ああ、好きだなって思うんだ」

 好き、という言葉を雅人の口から直接聞くと、さすがに胸が破裂しそうなほど痛む。

 胸の中を、冬の風が通り過ぎたみたいに、冷たくなった。

「知ってた? きみちゃんって案外ドジでさ。出会いもコケたところでって言っただろ? 一緒にいててもよく躓いたりして。あと思ったことすぐ顔に出ちゃうんだ。寂しそうだったり嬉しそうだったり……」

 そんなの聞きたくない。

 でも、昨日一昨日と話をしたときの町田さんが脳裏に浮かぶ。あの軽口も、叫びも、彼女の虚勢だったのではないかと思えてくる。

「本当は人のウワサに敏感で、だからちょっと意地っ張りな部分もあって。まあ、惚れっぽいのは本当らしいけど。思ってたのと違うって、毎回振られてただけらしいんだよね」

 雅人が、町田さんのウワサを知っていることに驚いた。

 でも、そんなふうに受け止めている事実に、心臓がぐちゃぐちゃになったみたいに痛くて苦しい。

「だからかな案外自分に自信がなくて、美輝に嫉妬をしてたんだよね。一緒に誕生日プレゼントを買いに行くのもふてくされちゃって。でも――すごく一生懸命、選んでくれたんだよ」

 わたしへのプレゼントが星だということを知っていた町田さん。

 文句を言いつつも、わたしへのプレゼントに、ああでもないこうでもない、と雅人に呆れながら、女の子の喜ぶものを探し出してくれたと説明してくれた。

 だけど、そんな話聞きたくない。

 聞いてしまうと、わたしは、認めざる得なくなってしまう。

 耳をふさぎたい気持ちをグッと堪えて、黙って聞いた。

「だから。きみちゃんが、みんなが思うようなことをするって、思えないんだ。もちろん、不安がないって言ったら嘘になるけど」