だって、あの日、ずっと一緒にいる、そう言ってくれたのは雅人だ。

 わたしよりも泣きそうな顔をして、必死に励ましてくれた。星を見つめながら、手を強く握りしめてくれた。その場しのぎで口にした台詞じゃない。あの日以来、事あるごとにわたしに星をモティーフにしたアイテムをプレゼントしてくれるのが、なによりの証拠だ。

 雅人があのとき、わたしのそばにいてくれたから、今のわたしがいる。頑なに心を閉ざすことも、どうしようもない怒りに心を支配されることもなかった。こうして笑っていられるのは、雅人がいてくれたから。

 だからこそ、あの約束だけは、変わらずに今もわたしたちの間に交わされていてほしい。

 そう願うのは、わたしのわがままなのだろうか。
 それとも、これが恋愛感情だからなのだろうか。



 先生の話が終わるとすぐにチャイムが鳴り、放送で体育館に集まるように指示された。

 学年、クラスごとに二列に並ばされて、立ちっぱなしの状態で校長の長いだけで中身のない(と思われる)話を聞く。ただでさえ聞くのが辛いのに、こんな熱気のこもった場所に閉じ込められていたらなおさらだ。

 蒸し暑くて朦朧とする中、思っていることはみんな一緒だろう。さっさと終われとそればかり祈っている。にも関わらず、その後生徒会や委員会からの連絡事項が始まった。ほとんど右から左に素通りさせて、中身は全く頭に入ってこない。

 小一時間ほど立ちっぱなしにさせられて、やっと開放された頃には汗で制服が体にべとついていた。外に出ると風がある分いくらかマシに感じるくらいだ。

「さー、夏休みだよ! 遊ぼー!」

 聖子が明るい声でわたしたちに言う。きっといろんな計画を立てているのだろう。聖子はいつも、率先してみんなを集める。

「あたしにもちゃんと声かけてよねー」
「真知クラブじゃん」
「クラブない日は参加するし!」

 聖子はそう言って、わたしたちの肩をぽんぽんっと叩いてから通り過ぎていった。明るくて元気でムードメーカーで、友だちの多い聖子はいつも忙しそうに見える。聖子がいれば、夏休みも楽しく過ごせるかもしれない、とちょっと前向きな気持ちになる。聖子は帰宅部だから、わたしから声をかけても遊んでくれそうだ。

「あ、ちょっとトイレ行くから、待ってて」
「はいはいー」

 廊下の脇にあるトイレを見て思い出したように真知が駆け込んでいく。ちらりと中を見ると、数人が並んでいて時間がかかりそうだった。体育館から出てくる生徒の邪魔にならないように入口近くの隅っこの壁にもたれかかりながら真知が出てくるのを待った。