「ひとりで泣けるようになるまでは、また泣かせて」
もっと自分に自信がついたら、弱虫な自分から脱却することができたら、そのときはひとりで泣くのを覚悟してちゃんと、賢に伝えることが出来る気がする。
「なにそれ、お前、オレと離れてもいいってこと?」
「そういうわけじゃないけど」
「じゃあ余計なこと考えてんじゃねえよ。いつでもそばにいて、泣いて、笑ってればいいだろ」
胸がちょっとぎゅっと握りしめられたみたいに痛む。けれど、どこか甘くて、自分がどんな顔をしているのかわからなくなった。
「オレは一〇〇年生きるしな」
「……なにそれ」
「一〇〇年お前のそばにいてやるよ」
どういう意味だろう。
首を傾げて色々考えを巡らせていると、あまりにも自分に都合のいい解釈にたどり着いた。それを確かめることは間違っていたら恥ずかしすぎるのでできない。でも、一度浮かんだことはなかなか拭うことができなくて、顔がどんどん赤くなって熱を帯びていくのがわかった。
「熱中症か。顔赤いぞ」
「……っ、だ、誰のせいで」
「はあ?」
なんにも気付いていない賢を見て、やっぱり深読みしすぎただけだと思い直すことができた。それもそれで悲しい。けれど、目の前の賢がケラケラと楽しそうに笑っているのをみて、わたしも自然に、口を開けて笑った。
「賢が一〇〇年生きるなら、わたしは一〇〇年と一日、生きなくちゃね」
「なんで?」
「わたしが先に死んだら、わたしの大事な人たちが泣くからね」
それなら、わたしが泣いたほうがいいでしょう? と言うと、賢は「俺がいなかったら泣けねえくせに」と言った。



