星空は100年後

 ぽかんとした町田さんが、次第に顔を緩ませて、可愛らしく笑い始める。

「じゃあ、私も、美輝ちゃんのこと好きにならなくちゃね」

 そう言われて、自分でも驚くほど嬉しい気持ちになった。



 数分後に雅人が病室に戻ってくると、町田さんはわたしたちに見せていたような少し緊張の見える笑顔じゃなくて、本当に嬉しそうに笑っていた。雅人は幸せそうな、優しそうな笑顔を見せていた。見ているだけで、幸せになるようなふたりの笑顔だった。

「じゃあ、今日はこれで」

 滞在時間はたった数十分だったけれど、わたしも賢も満足して立ち上がった。

 町田さんもこの調子なら、二学期の早いうちには学校に復帰できるんじゃないかと思う。学校内ではまだ少し、悪い噂が残っているけれど、それももうそのうち消えていくだろう。わたしの耳に届いたら、その場で訂正してまわればきっとすぐに誤解だとわかるはずだ。

「学校で待ってるから」
「あ、あの」

 じゃあね、を手を振ってドアに手をかけたところで、町田さんに呼び止められた。

「……終業式の日、ごめん」

 申し訳なさそうに頭を下げられて、本当に町田さんは不器用な子なんだな、と思った。雅人のいる前でそんなこと言わなくてもいいのに。

「もう、一度聞いたからいいよ、それに、これ、ありがとう。選んでくれたんだよね」

 手にしていたカバンを目の前に持ってきて、付いているチャームを町田さんに見えるように掲げた。星のモティーフがチェーンになっているちょっとアンティーク調のチャームだ。星にこだわりは全くなかったけれど、これは正直、とても気に入っている。

「今年の誕生日は無理だったけど、来年は一緒にわたしの誕生日祝ってね。代わりに、町田さんの誕生日、わたしにも祝わせてね」

 にっと歯を見せて笑うと、町田さんは「うん」と言って頷いてくれた。