星になんてならない。させない。

 でも、もしもそうなるのなら、わたしが何度でも壊してみせる。壊して、なにがなんでも生きてもらう。死なせたりなんかしない。意地でも生きてもらうんだから。

 死んだ人が星になるというのなら、この世に星なんてひとつもなくていい。暗闇に包まれていればいい。

「なにおかしなこと言ってるの……。美輝ちゃんだって私がいないほうがいいでしょ。私がいなければ雅人くんとまた一緒にいられるんだから」
「町田さんがいてもいなくても関係ない。これからもわたしは雅人と一緒にいる」

「でも、それじゃただの幼馴染でしょ。弱みにつけこんで彼女にだってなれるかもしれないじゃない」

 そう言いながら、彼女の頬に光の筋が流れた。

「泣きながら、なに言ってんのよ」

 ぼろぼろと涙をこぼしながら、強がる町田さんにほとほと呆れてしまう。

 泣くほど嫌なら口にしなければいいのに。生きたいくせに、死にたくないくせに。雅人のそばに、い続けたいと思っているくせに。だから、今もここにいるんじゃないの。

 雅人が、自分のせいで苦しんでいる姿を見ることができない。かといって遠く離れた場所に行くこともできない。そのくらい、雅人のことが大好きなことを、わたしは知っている。

「雅人のこと、本気で、好きなら、生きてよ」

 本当は、ずっと前から気付いていた。

 どんなにひどいうわさが流れていても、町田さんはきっと雅人のことを顔だけじゃなく全てを受け入れて好きだと思っているんじゃないかと、そう考えていた。それをずっと認めたくなかった。

 わたしたちの乗る電車よりも必ず前に着く電車で来ていた。日焼けを気にする彼女が、毎朝雅人と一緒に学校に向かうたびに、日陰のない駅で待っていたこと。雅人の姿をすぐに見つけて嬉しそうに歯を見せて笑うところ。

 ただ、雅人の顔だけを好きになったのあれば、そこまで頑張るはずがないと気付いていた。

 わたしも雅人が大好きだからこそ、雅人に向ける彼女の笑みが、幸せいっぱいだってことくらいはすぐに見抜くことができた。

 本当に好きなんだと思っていた。

 だから、町田さんのことが嫌いだった。