昴センパイは全然違うって言うけど。違くなんかないんだ、おれもいつだっておんなじこと思ってる。

なんにもいいところないよ。人に好きになってもらえるような人じゃない。

いや、でも本当は違うかな。昴センパイが思ってるのとは別の意味でだけど。


昴センパイにとってのおれが、どんな風なのかはわかんないけど。

おれにとっての昴センパイは、その辺りに埋もれてるようなその他大勢の一部じゃない。ううん、それも違うね。むしろたくさんの中から見つけたんだ。

他とおんなじのはずなのに、おれには全然違うふうに見えた。昴センパイだけを見つけた。

たぶん、特別よりずっと、特別だったから。


「どうかな、楽しいかはわかんないけど」


昴センパイが少し顔を上げる。おれのほうを向いてくれた目はちょっとだけ赤い。

それを見つめ返してみる。ああおれ今、昴センパイの目に映ってるんだって、おれは、とても嬉しくなる。


「でもね、おれさ」


ねえ、昴センパイ。センパイは知らないだろうし、別に、知らなくてもいいけど。


「おれ、昴センパイと一緒がいいよ」


おれが今ね、どんな思いで昴センパイといるか。


センパイは、知らないんだ。