この時期の屋上は陽射しが随分きつくなっている。

セミの鳴き声も多くなって、日が暮れるまでは静かになるときがない。


昴センパイは今日も、おれが着いたあとすぐに屋上まで来てくれた。慣れたように鍵を開けて、ふたりで一緒に屋上に出る。

星が出るまではひたすら待つばかりだ。いろいろおしゃべりしたり、本を読んだり、ふたりでぼうっと空を見たり。はじめは昴センパイ、つまんなそうにして寝ちゃってたりしたけれど。

そう言えば最初に昴センパイがここに来たときは驚いたな。だって順平くんがいると思ったら女の子がいたんだもん。おまけにパンツ見えてたし。見ちゃったこと、まだ謝ってない気がするなあ。まあいっか。

だってね、おれも本当にびっくりしたんだよ。パンツ見えて、つい声に出して、振り向いた人が……あなたで。



「もうすぐ夏休みだねー」


隣に座る昴センパイが間延びした声で言った。

センパイは、夏の空気を嗅ぐみたいに空を見上げている。睫毛が光できらきら。昴センパイって、お日様がよく似合う。


「そうだね。夏休みだ」

「あたし来年は受験生だからさ、好きに遊べるのは今年までじゃん。だからすごく楽しみなんだよね。充実させたいなあ」

「うん。じゃあ夏休み、どうする?」

「え、どうするって何が?」

「部活」


昴センパイがきょとんとした顔をした。顔見知りのハトが柵からひょろっと飛んでいく。


あれ、なんでセンパイそんな顔するんだろう。

おれ、なんか変なこと言ったかな。