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小さな頃から宇宙が好きだった。
どこまで広がっているのかもわからない夜空と、近そうで手が届きそうで、でも何万光年も向こうの光。
なんでって、理由を訊かれたらうまくは答えられないんだけど。でも、その景色に心惹かれずにはいられなくて、いつだっておれは、そればかりを追いかけ続けていた。
没頭するとまわりが見えなくなるのも昔から変わらないところだ。人に合わせるのも苦手で、そのせいで友達に変に思われたりすることも少なくはなかった。
子どもって本当に容赦ない。少しまわりから浮いてしまうだけで自分たちの輪からどうにかして排除しようとするんだ。
よくあったこと。陰でこそこそ言われたり、ときには真正面からひどいことを言われたり。
今思えばすごくくだらないことなんだ。でも、小学生のときのおれはそれにどうしても耐えられなくて、悲しくて、本当に、ひどく、傷ついてしまった。
だから中学生に上がる頃には自分を隠すようになっていた。
心を隠して、目を逸らして。興味の無いことでもきちんと笑えたし、みんなにリズムを合わせるのもそのうち随分うまくなった。
陰口を叩く友達も、急に仲間外れにする友達もいなくなった。
おれのまわりにはいつもたくさんの人がいて、みんなおれを「自分たちの仲間」だと思ってくれた。
まわりの友達の好きなことだけをやった。
バスケ、ファッション、恋愛。いろんな、流行りのこと。
代わりに自分の好きなものはダサくてみんなとは違うから、もうやめてしまうつもりだった。
……だけどどうしても捨てられなくて、誰にも知られないように、こっそり大事にし続けた。
おれの世界。とても小さな世界。
目を瞑って、見ないようにしたって、どうしたって真っ暗にならなくて。
消えない光がいつまでもそこにあって、おれの世界を、どこかから、照らし続けていた。