「そういや、篠崎とは仲良くやってるみたいだな」


ぽんと毛布の上から頭に手が乗った。返事はしない。


「ひとりじゃないと寂しくなくていいだろ」

「別に今までだって寂しくなかった」

「じゃあ退部させるか。おれが無理やり入れたようなもんだしな」


毛布から、目だけを出して覗いてみた。順平くんはやっぱり意地悪な顔をしていた。


「順平くんほんとキライ。どっか行って」

「すねんなってもう、可愛いな」


わしわし。撫でてくる手を払い退けてもわしわし。

うっとおしがってるのわかんないのかな。たぶん順平くんはわかっててこんな風にしてくるんだと思うけど。

タチ悪いや。なんでもかんでも、わかったような顔してさ。むかつく。


「…………」


やっぱりクーラーもっかい下げてもらおう。ちょっと暑いや。顔とかもう、焼けちゃいそうだし。

こんなの全部順平くんのせいだ。

……ううん、違う。本当は誰のせいかなんて、はっきりわかってる。


「なあ真夏」


順平くんの手が優しくなる。おれの頭を撫でる手。


「あいつの世界にもう一度、きらきらした光、見つけられねえかな」


おれはやっぱり答えないまま、もぞっと毛布の中で自分の体を抱きしめた。

目を瞑る。あの日の景色を思い出す。


そうして頭に浮かんだ光は、変わらず、何より、綺麗で鮮やかな光だった。