真夏くんが、眩しそうに目を細めて不透明な空を見た。

声は、迷いなくて、今は見えない星にまでも真っ直ぐに届きそうなくらい。


ぎゅっとくちびるを噛んだ。短く息を吸って、止めて。

真夏くんの横顔から目を逸らしてしまったのは、きっと、もう、見ていられなかったせい。


「…………」


誰、なんだろう。どんな人なんだろうな、その人。


大好きなことを真っ直ぐに追いかけて、見続ける。そんなとても簡単なことがあたしにはもうできない。

あんなにもあっけなく、情けなく。あたしの前へ進むための道も光も無くなったから。

たったそれだけしかなかった。たったひとつだった。

あたしにとってはそれだけが目印だったのに、こうもあっさり消えて、見えなくなった。


きらきら。きらきら。

あの輝きは今も、こんなにも、憶えているのに。


「ねえ、昴センパイ」


どんな人なんだろう。真夏くんにこんな風に思われる人。

わかんないけど、でも、これだけは確か。


「その人のおかげで、おれは今、自分だけの光をいつまでも追いかけ続けていられるんだよ」


きっと、わたしとは、全然違う人なんだ。