『なんでって、だって、昴センパイは』


あのとき真夏くんは何を言おうとしたんだろうって、ときどき考える。

考えたってわかんなくって。そもそも真夏くんって本当に何考えてるのかわかんない人だし。


いつか、わかるのかなあ、なんて。

とりあえず思ってみるけれど、本当は、そんなの無理だし、そもそもわかる必要だってないんじゃないかなって思ったりもしてる。


あの屋上で出会ったのは、やっぱりたまたまで、気まぐれで。あたしじゃなくてもよかったことで。


実際、こんな時間がいつまで続くかもわかんないし。たぶん真夏くんにとってのあたしってそんなに重要な存在じゃないから、彼が飽きればそのうち自然になくなって、また今までみたいに赤の他人に戻るんじゃないかなって。

あたしにとっての、本当にちょっとした思い出になるくらいで。


たぶん、それが一番自然な形。だってあたしと真夏くんって全然違うから。

真夏くんが学校で一番人気の有名人だから、ってだけじゃなくて。


真夏くんと一緒にいるのは嫌いじゃないけど。どころか、あたしも結構楽しかったりするんだけれど。

ときどき、彼の持ってるきらきらしたのがあたしには眩しすぎることもあって。

目を細めなきゃいけなくなるんだ。見開いて見るにはいろいろと辛すぎて真っ直ぐに見つめられなくなる。


でも。細めて見たその光は、やっぱり、とても、綺麗なのだけれど。