「ねえ、昴センパイ」
きみの仕草をまねるように。
恐る恐る、同じように手を伸ばして、ぎゅっと、光る星の上で手のひらを握ってみた。
小さなその光を。小さな手で。
あんなに近くにある気がするから、まるで、届くような気がして。
「広げなくたって、世界はもう、こんなにも広いよ」
広い世界。広がる世界。青だけの景色。
眩しかった、あの場所。
あるのかな、本当に。自分だけの光なんて。
太陽のない場所は真っ暗なはずでしょ。明るい青い空だから、どこまでも目指していけたんでしょ。
真っ暗な景色に何を見つけられるんだろう。
どこにあたしの光があるって言うの。
一体、どこに。あたしが、失くしてしまった景色が。
「…………」
真夏くんを見たら、真っ直ぐに目が合って。でも、それがどうしてかとても苦しくて思わず目を逸らしてしまった。
開いた、あたしの手のひら。
それはやっぱり、空っぽのままだった。