眩しいくらいに輝いていた。
どこまでも、どこまで行ってもまだまだ世界は広がった。
一歩、足を踏み出すたびに。あの青い空の向こうまで行けちゃいそうなくらいに体が軽くなって。
音も、風も、匂いも、何もかもが変わる。眩しいほどの光がその先で待っている。
呼吸をする間もないほどの短い時間の中、けれど一瞬一瞬が明確で、鮮やかで、その景色に心奪われずにはいられなくなる。
めまぐるしいほどの奇跡。何度でも起きるそれ。でも、何度でも、それは最高の奇跡であり続ける。
その中心には、あたしがいた。
あたしの足跡から、地面にも空にも染み渡っていくみたいに世界のすべてが色を変えて、新しいものに生まれ変わった。
だからもっと、もっと、もっと先まで。
もっとあの光の近くまで。もっと、遠くまで。果てのない、あの青い世界の向こうまで。
行きたかった。行こうと思った。行けると思った。絶対に。
あの光があるのなら、あたしはいつまでだって走っていけるって、そう、信じていたんだ。
「ふうん」
真夏くんが小さく呟いた。
とても顔を見られなくて、振り向きはしなかった。
あたしは目を開けたまま、とても狭い景色だけを見て、遠くの、誰かの声を聞いていた。