「星を見てる」

「いや、うん、なるほど」


なるほどお。

地味だなあ。あたしが知ってる部活動とは随分内容が違うらしい。


「でもさ、まだ空明るいけど。星っていつ頃から見えるの?」

「今は日の入りが7時頃だから、その辺から」

「まだ5時前だよ」

「うん。だから、待ってる」

「星が出るのを?」

「うん」


まじか。あと1時間半も、何もしないでこのままずっと?

遅くまで、それこそ辺りが真っ暗になるまで部活をするなんてよくあったけどさ。それは熱中してたからあっという間に夜になってたんであって、やることもなく日が暮れるまで待つなんて絶対に無理。


「星を楽しみに待つっていう楽しみ方があるよ」


いや、あたしそんなに夜空楽しみにしてないし。

そもそもこの辺りの土地って、星空そんなにきれいに見えたかなあ。今まであんまり、夜の空なんて、意識して見上げたことなかったけど。

1個2個、ちらちら光る星なんか見て、何をどう受け止めればいいんだろう。


「そうだ、昴センパイ。これ貸してあげる」


真夏くんが、横に置いてあったかばんをごそごそ探り始めた。そして取り出したのは1冊の本。

星空と夜空の……図鑑、っていうよりは、写真集みたいな本だ。