「わからないことがあったら教えるし」
「でも……なんで」
「なんでって、だって、昴センパイは」
そこでどうしてか、真夏くんが言いよどんだ。何かを言いかけてくちびるを開いて、だけど言葉は続けないままムッと開いたそれを閉じる。
「……もしかして、昨日あたしのパンツ見たから?」
「ち、ちがう。あれは、不可抗力」
ちょっとだけ、真夏くんの顔が赤くなる。そうして目を逸らす姿に小さくプッと笑ってしまった。
真夏くんて、あんまり表情かわらないように見えて、案外顔に出やすいタイプなのかもしれない。
「それに、昴センパイは、もううちの部活に入ってるし」
「それさ、だから、入ってないってば」
「でも順平くんが昴センパイの入部届け持ってきたよ」
「は……はあ!?」
うそ、いつの間に? 入部届けなんて書いた覚えないのに……。
あ、お昼の「部活やっとけ」ってこのことだったのか……高良先生め!
あたしの大きな声に振り向いた真夏くんは、ちょっと驚いた顔。くりっとした丸い目がなんだか子犬みたいで、その目に見つめられると「うっ」とのどの奥で何かが詰まって何も言えなくなる。
……部活なんて、入りません、とか。
「……天文学部って、何やってるの?」
ため息混じりなのは仕方ないと思う。
訊ねると、真夏くんは真上を指差しながら言った。