「真っ暗闇でも、どこかに必ずある。見えなくなったと思っても、顔を上げて探せばいいんだよ。じっとうずくまってちゃわからない。顔を上げて、少しでもいいから歩かなきゃ。そしたら絶対に見つかるし、必ず、見つけてあげるから」
それは、風の中。
低くなった日の光を浴びながら、きみが、言う。
その姿はきらきらと眩しくて、なんだかとても、焦がれた光に似ていて。
「…………」
星のことを、言ってるんだよね。そうだよ、言ってたじゃん、北極星のハナシだよ。
真夏くんがとても好きらしい、夜空の星のハナシのひとつ。
……なのに、なんでだろう。なんでこんなに胸がぎゅってなるんだろう。
目印で道しるべ。真っ直ぐの光。真っ暗闇。
知ってる。北極星じゃなくて。あたしにとっての、特別な光。
持ってた、知ってた、見つけてた、見えていた。
ずっとずっと追いかけて、追いかけて、どこまでだってそれ目指して走って。
立ち止まったりなんてしない。いつだって前しか向かない。眩しすぎても、目は開いたまんまで。
そう、いつだって。
「ねえ……本当に」
言いかけて、口をつぐんだ。不思議そうな顔をする真夏くんには、何にもないって、首を振った。
ばかじゃん、何を言おうとしてるの。言ってどうすんの。
何も知らない人に何言われたって、今さら何も変わらないのに。
もう十分にわかってるんだ。
……本当に、真っ暗闇にも、どこかに光はあるの。なんて。
答えはもう、とっくに知っている。