放課後。

約束どおり、昨日と同じに屋上へ行くと、鍵が閉まっている扉の前で真夏くんがあたしを待っていた。

昨日も持っていた大きな荷物を抱えて。あたしが踊り場から顔を出すと、座っていた階段の一番上から、のそりと立ち上がった。


「昴センパイ、待ってた」

「……うん、お待たせしました」


真夏くんの横をすり抜けて、扉のドアノブに鍵を差し込む。カチンと鳴る音が開いた証拠。

これでお仕事は終了だ。そうして帰ろうとしたあたしを、どうしてか真夏くんは呼び止める。


「センパイ、一緒にやらないの?」


逆に、なぜ一緒にやるの?


「昴センパイ、ウチの部活入ったんでしょ?」


や、入った覚えはないし、そもそもウチの部活って、どの部活?


何もかもわかんないまま、なぜだかあたしはふたたび真夏くんと梅雨の屋上に立っていた。

真夏くんは大きな荷物を足元に置いて、またじっと、何もない空を見上げている。


「……何してるの?」

「空見てる」


それは、知ってるけど。


真似して見上げてみても、やっぱり空には何もない。

何か見えるかなあって、期待したわけじゃないけれど。本当になんにも見えなくって、梅雨の真っ最中のくせにじめっと晴れた青の空は、まだまだ不透明のままで、そこに何も映さない。

青。ただただその色。

遠くて、手が届かなくて。あたしには少し、眩しすぎる。