狭い真っ暗闇。あたしはずっと、その場所にいた。
でもそれはただ、あたしが立ち止まって目を瞑っていただけなんだって知った。
少し、怖くても、目を開けてみた。1歩、足を進めてみた。
そして見つけた小さな目印。
真っ暗な中、確かに光る、光があった。
何か、なんて、きみももう知っているでしょう。
あたしの中の一番星。それは──
「お、おはようっ!」
裏返った声が恥ずかしかった。でも、逃げずに向き合った。
まだ周りは黙り込んだまま。視線だけ、あたしに向けて固まっている。
心臓が鳴っていた。開いた窓から風が吹く。
温い風。真夏よりも、少しだけ、涼しい気がする秋の匂いの空気。
真夏くんの表情が、ふわりと、あたたかに変わった。
「おはよ、昴センパイ」