下駄箱には一ヶ月以上ぶりの手紙が入っていた。
もうメールできるのに。そう思って開いた星柄の手紙は今日の場所を伝える内容。
『昴センパイへ
今日は屋上でやります。
真夏』
「なに昴、またラブレターもらったの?」
「うん」
「うそ!?」
驚いた顔で絵奈は、慌ててあたしの手紙を覗こうとした。だけどそれを軽くかわして、手紙は大事にポケットにしまう。
これは最後まで内緒にしたいんだ。なんか、なんとなくね。
「昴センパイ」
教室へ向かうまでの廊下で、ふと呼ばれて振り向いた。
さゆきがいた。前みたいに駆け寄ってくることはしないけど、数歩離れたところから、あたしのほうを向いていた。
廊下は、ざわざわ、人が多くなってくる。
「さゆき、おはよう」
「センパイ、あたし、インハイ5位でした」
挨拶よりも先に、さゆきがあたしに報告したこと。
インターハイで5位。それってすごくいい報せだと思うのに、目の前にいるさゆきの顔はさっきからずっと晴れないまま。