「真夏くん」
「なに?」
「真夏くんは北極星みたい」
ちょっとだけ真夏くんがあたしを見た気がした。
あたしは流れ星を探していたから、真夏くんの顔は見なかった。
「北極星かあ。それもいいね」
「でしょ」
「おれ北極星、すごく好き」
あ、たぶん今笑ってるな。顔見てないのにわかるんだ。
空気とか、ふわって変わるの。真夏くんが笑ってくれるとね。
なんか、すごい、不思議なんだけど。世界がきらきら、星が、夜空に輝くみたいに、たくさんの光で色付くみたいに。
きみのいる世界が、きらめきだすから。
「あたしも好き」
「うん」
「北極星がじゃないよ」
「うん?」
「真夏くんのこと」
今度ははっきりあたしを見た。だからあたしも振り向いた。
真夏くんは驚いた顔で目をまんまるにして、そのうえまた泣き出すから、あたしはつい、笑ってしまった。