いつになく真剣な顔の真夏くんに、あたしは笑うのを堪えて「うん」って答えた。

今の今まであたしのことあんなにぎゅってして泣いてたくせに、もう星のことに夢中になって空ばっかりしか見てくれない。なんかね、それってちょっとシャクだけど、でも、やっぱりそれが真夏くんらしいって思うんだ。

自分の好きなことに一生懸命で、とっても一途。

あたしね、真夏くんのそういうところ、すごくさあ。



「ねえ、真夏くんって星になりたいって言ってたよね」


思い出したことを訊ねた。ふたりとも、目は空を見上げたまま。

右手と、左手だけで、今も温度、感じたまま。


「うん」

「じゃあさ、なるならこういう一瞬でみんなを幸せにしてくれる流れ星か、ずっと同じ場所で光ってる恒星か……あとはほうき星みたいな旅するやつとかか、どれがいい?」

「んー、そうだなあ……」


真夏くんは少し考えるように呟いてから、「昴センパイはどれが好き?」ってあたしに訊き返した。


「あたし?」

「うん」

「あたしはどれも好きだよ。流れ星とかほうき星は特別感があるのがいいけど、普通の星はいつもきらきらしててくれてさ」

「じゃあどれでもいいよ。特にこだわりはない」

「どれでもいいの?」

「うん、センパイが、見てくれるなら」


あ、って。

言ったのは同時だった。

流れた星。タイミングが同じだったから、同じ星を見たんだと思う。

流れ星ってこんなにも一瞬だ。それを一緒に見られたことが、なんだかすごく嬉しくなって、そうだなあって、考える。