今ならわかるよ。きみの言うとおりだった。

光は、決してひとつじゃない。真っ暗闇だと思っても必ずどこかにそれはあって、あたしのことを待っている。

あとは勇気を出すだけなんだ。顔を上げて、ゆっくりでも、前に進んで行かなくちゃ。

そうしたら必ず見つけられる。見つけてくれる。


自分だけの目印になる、それは、特別で、大切な光。


「あ」


肩越しに、空を見上げた。

あれ、今見えたのってあれだよね。あ、ほら、またもう1個。


「どうしたの昴センパイ」


ちょっと体を離した真夏くんが、首を傾げてあたしを覗いた。

あたしは指をさしてみる。空の、てっぺんの、近くの大きな星の横。


「やばい、すんごい流れ星見えた」

「えっ!」


ガバッと真夏くんも顔を上げた。でも当然もう遅い。流れ星はとっくに消えて、空の動きはとても静かだ。


「どこ!?」

「もうとっくに消えたって」

「そんなあ……もうちょっと早く教えてよ」

「無茶言わないでよ。あ、で結構限界だって。流れ星って本当にすぐ消えちゃうんだね」

「もうおれ見逃さないよ、ずっと空見てるから。昴センパイも一緒にだよ」