なのになんで。

あたしの足、動かないの。



泣いても泣いても涙は枯れないんだって知った。

どれだけ泣いても何も変わらなくて、どれだけ叫んでも胸の痛みは取れなくて。


なんであたしが。どうして。

そんなことは何度も頭で問いかけた。返事なんて返ってこない。あるのはいつだって、膝と、それよりも苦しい心の中の痛みだけ。


治るよって、お医者さんには言われた。普通に生活する分にはなんの支障もないくらいに。ただ以前のようには走れないとも言われた。そんなのはあたしにとっては、治ってるなんて言わなかった。



全部がその瞬間に壊れたんだ。


青い景色も、輝く光も、どこまでも広がる世界も、自由な白いあたしの羽も。

大切な夢も。


立っていたのは真っ暗闇の狭いところだった。動くこともできずに、あたしはそこでしゃがみ込んだ。

目を瞑って、呼吸も止めて、涙を零すのを見られないようにするのが精いっぱいだった。


もうこれ以上あたしの世界は広がらない。

たったそれだけが、俯くあたしの中に残った、どうしようもない事実だった。