真夏くんと、ようやく目を合わせた。

真夏くんの目はいつもとてもきらきらしてる。綺麗で、それはたぶんきみの世界が、いつだってとびきり鮮やかだからなんだと思う。


あたしとは違う。でもきみといるときはあたしにもきみと同じものが見えるような気がしてた。

もう失くしてしまったものに似た、あれとは違うけど、心が止まるような、きらきらとした、世界。


きみは見せてくれた。きみとは全然違うあたしにも。

こんな、もうなんにも持ってないあたしを見つけてくれて、あたしの側にいてくれて。


あたしはそれが、本当に、とても、嬉しかったんだ。

ねえ、真夏くん。



「……それじゃあ幻滅した?」


え、って、小さな訊き返しの声が聞こえた。

目はもう見てない。とても、見られない。


「幻滅したでしょ、今のあたし見てさ。だってあのときとは全然違うんだもん。走れもしないし、眩しくもない。ちっぽけで真っ暗な世界で立ち止まって蹲って、それだけしかできないんだ」


自分が嫌いだよ。あんなにも好きだったのに。自分も、こんな世界も、今はすごく大嫌い。

だけどあたしね、きみに会ってから、こんなあたしのことでも見つけてくれる人がいるんだって思ったんだ。

今のあたしを見てくれる。今のあたしでも、大丈夫だって。

……なのに、そうじゃなかった。

真夏くんが見つけてくれたのは、どこの誰よりきらきら光ってた、今とは違う場所にいた、あたしのことだったんだ。

今のあたしじゃない。